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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2017/06/08

 私は地方のあまりレベルの高くない学校の出身で、東大生や東大OBの知り合いから直接話を聞く機会がなく、東大に対して幻想とも言えるほどの良いイメージを描き、受験勉強に励んでいました。
「東大へ行けば、日本一の教授陣のエキサイティングな授業をやる気溢れるクラスメートと共に受けられ、いくつもの面白そうな学部の中で揺れて、進振り(※1)を迎えるんだろうなあ…」といった具合です。
私ほど大きな期待を持った受験生はあまりいないかも知れませんが、同じようなイメージを持っている受験生は決して少なくないと思います。

 結果的に、私は幸運にも東大の門を叩くことはできたのですが、入学後に目の当たりにした東大の姿は、当初のイメージとはいくらか異なるものでした。

その中でも最も印象的だったのが、「授業が面白くなかった」ということです。



東大の授業は面白くない?

 面白いか面白くないか、という判断は完全に主観ですし、あなたがそう感じただけじゃないかと責めたくなる人は大勢いるでしょうが、それでも私は「東大の授業は面白くない」と言い切ってしまいたいです。

 私は東大に入学してから、多くのコミュニティで様々な人たちと知り合いました。彼らの中には一日中自分の好きな勉強をしている、いわゆるイカ東(※2)もいれば、都会の遊びやお酒に溺れ、留年を重ねてしまう人もいました。しかしその中の誰一人として、東大の授業は概して面白いと言っていた者はいません。
「授業を受けるくらいなら、自分の好きな勉強を進めたほうが良い」「可能な限り授業は受けずに、サークルや遊びに没頭したい」などと答えるでしょう。

 ではなぜ日本の最高学府と言われ、最も勉強にささげた時間が多かった人が集まっているはずの東京大学の授業がここまで酷評されてしまうのでしょうか。

 東大の教授陣は間違いなく研究者として才能あふれる方々ですが、だからと言って講師・話し手として優れているかというと必ずしもそうではなく、授業への熱意も話術も人それぞれです。そして特に駒場の二年間の授業では、普段教授の方々がされている研究よりかなりレベルの低い講義をしているためか、モチベーションが低い先生が多いように感じます。これが東大の授業がつまらなく感じてしまう大きな原因かと思います。




じゃあ、東大の授業は受けない方が良い?

 以上、散々東大の授業のネガキャンにも見える記事を淡々と綴ってきましたが、私は決して「東大の授業なんてつまらないから受けなくても問題ない」と主張したいわけではありません。ただ、「東大の授業に過度な期待をするな」ひいては「東大に入る前に、自分のやりたいことを探しておこう」と言いたいのです。

 授業に期待しないこととやりたいことを探しておくこと、一見あまり関係がないように見えますが、私含め少なくない東大生はこの二つの繋がりを実感しているはずです。

 東大にはご存じの通り進学振り分けというとても珍しい、一見素晴らしい制度があります。二年生までは教養学部生として同じような授業を選択でき、三年生に上がる時に改めて専攻を選びなおせるという制度です。
この制度、様々な専門の教授の講義を受けてから学科を選択できるという点で非常に学生に有益なものなのですが、その代償として「とりあえず東大生」が毎年大量に生まれてしまうという欠点があります。

 「とりあえず東大生」とは、「特にやりたいことがあるわけじゃないけど、成績もいいしもし入れたらかっこいいから、とりあえず東大を目指そう」のようなノリで東大に入学してくる学生のことです。(※一般的に使われている呼称ではありません)
このとりあえず東大生、えてして東大の授業に過剰な期待をしている者が多いです。「これだけ学科があれば、適当な授業を受けているだけでやりたいことが一つは見つかるだろうなあ」、なんて考えを持ってしまいがちです。
しかし、とりあえず東大生たちが本当にやりたいことを見つけられる可能性は低いでしょう。東大の授業は、ただ教室に座って話を聞いているだけの学生を引き付けられるような面白さは持ち合わせていないのですから

 ただ東大の授業は、能動的な興味を持って聞けば必ずしもつまらないというわけではありません。予備校の人気講師の授業のようなわかりやすい面白さはないかも知れませんが、授業で扱っている内容自体はしっかりしており、「この授業から気づきを得よう」と積極的な姿勢で授業を受ければ、面白いと感じられるものもきっとあるはずです。逆に言えば、漫然と授業をうけているだけでは面白いと思えるものに巡り合うことはとても難しいでしょう。

 ただ、授業に対する積極的な姿勢を維持するのは簡単なことではありません。大学生活は高校までより遥かに多くの自由と誘惑にあふれており、そのせいで毎年多くの真面目な学生がダレてしまい、いわゆる「東大までの人(※3)」になってしまいます。

 そうならないためにも、受験生の皆さんは自分がやりたいことをしっかり考えて東大に入学してきてください。それが大学の授業を能動的に受け、楽しみ続けるための第一条件です。決して進振りの存在を免罪符にしてはいけません

 必ずしも一つ、これがやりたいと決めておく必要はありません。ただ、自分は何に興味があって、何なら楽しめて勉強できるのか等の自己分析を怠ってはいけません。そこを欠いてしまうと、漫然とつまらない授業を受け続けることになり、結局本当にやりたいことを見つけられずに終わってしまうでしょう。




最後に… 

 確かに、進振りは良い制度です、東大の一二年生に文転や理転も含めた多くの可能性を与え、毎年多くの学生が真にやりたい学問を見つけるのに一役買っています。
ただ、自由というのは常にリスクと隣り合わせです。進振りという自由に甘え、自分と向き合うことを怠ってしまうと、実りのない駒場生活を送ってしまうことになります。

 そうならないためにも…受験生の皆さん、勉強でお忙しい中だとは思いますが、自分のやりたいことをしっかり考えて東大に入学してください。きっと活力に満ちた、良い大学生活が送れると思います。




語注
1 進振り…進学振り分け制度の略。
2 イカ東…「いかにも東大生」の略。昨今、良くテレビ番組でネタにされるオタク系東大生を漠然と指すことが多い。
3 東大までの人…東大に入学するまでは良いものの、そこから伸び悩んでしまう人。「東大からの人」と対比して用いられる。
2017/06/01
 今回は大分古い問題を。現行課程でギリギリ数Ⅱ積分の発展くらいの内容ですが、実質数Ⅲの範囲の問題です。東大理系用の問題とするには軽すぎですが、数Ⅲの積分を習いたてのこの時期の高3生には丁度良い練習問題?

<問題PDF>

 半径 1cm の半球形の器が水平から角 $θ$ だけ傾けて固定されている。ただし $0< \theta <\frac{\pi}{2}$ とする。この器に毎秒 $\frac{\pi}{18}$ ㎤ の割合で水を入れるとき,入れはじめてから $3+\cos^2{\theta}$ 秒後に器から水が流れ出した。このときの $\theta$ の値を求めよ。
<略解PDF>
<略解>

2017/06/01 石橋雄毅

2017/04/27
 見る人が見れば「数Ⅲ?」と感じるかもしれませんが、今回もあくまで文系数学の過去問です。できる人にとっては何でもないのですが、数学が苦手な人にとってはちょっと発想力が要る、という立ち位置にある問題のようです。東大数学に必要な最低限の思考力が備わっているかどうか、確かめてみてください。


<問題PDF>

 座標平面上の3点

P$(0,-\sqrt{2})$, Q$(0,\sqrt{2})$, A$(a,\sqrt{a^2+1})$  $(0 \leqq a \leqq 1)$

を考える。
(1) 2つの線分の長さの差 $PA - AQ$ は $a$ によらない定数であることを示し,その値を求めよ。
(2) Q を端点とし A を通る半直線と放物線 $y=\frac{\sqrt{2}}{8} x^2$ との交点を B とする。点 B から直線 $y=2$ へ下ろした垂線と直線 $y=2$ との交点を C とする。このとき,線分の長さの和

$PA+AB+BC$

は $a$ によらない定数であることを示し,その値を求めよ。

<略解PDF>
<略解>

2017/04/27 石橋雄毅

2017/02/23
 第14回を迎えました。今回は、与えられた情報から実験結果を考察し、教科書の知識と併せて解答する問題を選定しました。大変面白い問題だと思うので、ぜひ取り組んでみてください!
 なお、AとBは知識問題なので、今回は外しました。








C
 問題文によると、変異体xおよびyは通常の培地では生育できないのに対し、ショ糖を添加した培地では正常に生育できたようです。これは、変異体xおよびyはショ糖を与えられると、それをエネルギー源として利用して生育できる、と解釈できます。では、野生株はショ糖を加えていない培地でも正常に生育できるのはなぜでしょうか?

 リード文によると、シロイヌナズナの種子には糖新生経路が備わっているようです。これは、同様にリード文に説明がありますが、解糖系を逆に動かして有機酸から糖を合成する経路です。光合成ができなくても糖を生成することができるということは、これをエネルギー源として利用して生育することができる、ということです。つまり野生株は、子葉に貯蔵されている脂肪を代謝し、糖新生経路を経て糖を生成することで、これをエネルギー源として生育できる、と考えられます。すると、変異体xおよびyは脂肪から糖を生成する過程のどこかに異常があり、ショ糖を添加されないと生育できない、と説明できますね。

(解答例)
野生株は子葉に存在する脂肪を炭素源として糖新生経路を介して糖を生成できるため、これをエネルギー源として利用できるから。(59字)


D
 これは化学の知識ですが、脂肪は脂肪酸3分子がグリセリンに結合してできたものです。また、リード文から、β酸化経路により脂肪酸から炭素2個が切り出されてアセチルCoAが合成されることがわかります。

 ここまでの情報が拾えれば、あとは簡単です。炭素数16のパルミチン酸1分子から合成されるアセチルCoAは16÷2=8分子なので、パルミチン酸だけを脂肪酸として結合している脂肪から合成されるアセチルCoAの総分子数は8×3=24分子です。

(解答)
24


E
 まず、実験内容を整理します。実験4では、ショ糖が添加してある培地にインド―ルブタン酸(IBA)を添加した場合としていない場合における、野生株、変異体xおよびyの根の伸長を調べています。IBAがないとすべての株で根は正常に伸長しますが、IBAがあると変異体xのみ根が正常に伸長し、野生株および変異体yは根の伸長に異常が見られるようです。

 また問題文より、IBAがβ酸化経路により代謝されると、アセチルCoAだけでなくインドール酢酸(IAA)も生じる、とあります。IAAは生物受験者なら知っての通り、オーキシンと呼ばれる植物ホルモンです。

 ここで、問題に一度戻りましょう。聞かれていることは、「変異体xとyで、β酸化経路が正常に機能しているかどうか」です。これはどう判断できるでしょう?IBAがβ酸化経路によって代謝されることによってIAAが生じる、というヒントがありますから、「β酸化経路が正常に機能している」=「β酸化経路によってIAAが生じている」=「IAAがなんらかの影響を及ぼしている」と考えられます。つまりIBAを添加した培地において、IAAの影響が見られる場合はβ酸化経路が正常に機能しており、逆にIAAの影響が見られない場合はβ酸化経路が正常に機能していない、と判断できそうです。

 実験4の結果に戻ると、IBAを添加した培地において、野生株は根の伸長に異常が見られます。野生株はβ酸化経路が正常に機能しているとすると(野生株は変異体ではないですから、備わっているべきものはすべて備わっているとして考えます)、IBAを添加した培地において根の伸長に異常が見られる場合、β酸化経路が正常に機能していると判断できます。

 このように考えれば、変異体xはβ酸化経路が正常に機能しておらず、変異体yは正常に機能しているとわかります。よって正解は(3)です。

 ここで問題なのが、理由の記述です。変異体yではなぜIBAの添加によって根の伸長に異常が見られるのでしょうか?今までの議論から、この異常がIAAによるものであることは明白です。「IAA(オーキシン)」と「根」といえば、生物受験者ならピンとくるでしょう。そう、「根、芽、茎におけるオーキシンの感受性の違い」です。植物体を構成する根、芽、茎は、この順にオーキシンの感受性が高いです。オーキシンは本来植物の成長促進に働く植物ホルモンで、根は薄い濃度のオーキシンでその効果が現れます。しかし、オーキシンの濃度が濃すぎると逆に根は成長が阻害されてしまう、ということが知られています(これは教科書の知識ですので、みなさんご存知ですね)。

 つまり、変異体yでIBAの添加により根の伸長が阻害されたのは、β酸化経路が正常に機能してIAAが生じたことにより、高濃度のIAAが根に作用したから、と考えるとしっくりきますね。

(解答例)
(3)
根は高濃度のIAAにより伸長が阻害される性質をもつ。変異体yの根においてβ酸化経路が正常に機能したことにより高濃度のIAAが生じたから。(64字)





 いかがでしたでしょうか?Eでは教科書の知識と併せて考察してみました。このような、与えられた情報と教科書の知識を組み合わせて正答を導く気持ちよさは、東大生物の特徴のひとつです。みなさんはどこまでできたでしょうか?

解答例まとめ
C 野生株は子葉に存在する脂肪を炭素源として糖新生経路を介して糖を生成できるため、これをエネルギー源として利用できるから。(59字)
D 24
E (3)、根は高濃度のIAAにより伸長が阻害される性質をもつ。変異体yの根においてβ酸化経路が正常に機能したことにより高濃度のIAAが生じたから。(64字)

2017/2/23 宮崎悠介

2017/02/09
 今回は昨年の文系専用問題を紹介。文系数学としては“やや難”の評価を受けている問題ですが、理系の皆さんにはサクッと解いてほしい……解けますよね?

<問題PDF>

 以下の問いに答えよ。ただし, (1)については, 結論のみを書けばよい。
(1) $n$ を正の整数とし, $3^n$ を $10$ で割った余りを $a_n$ とする。$a_n$ を求めよ。
(2) $n$ を正の整数とし, $3^n$ を $4$ で割った余りを $b_n$ とする。$b_n$ を求めよ。
(3) 数列 $\{x_n \}$ を次のように定める。

$x_1=1, \quad x_{n+1}=3^{x_n} (n=1,2,3,⋯)$

 $x_{10}$ を $10$ で割った余りを求めよ。

<略解PDF>
<略解>

2017/02/09 石橋雄毅

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